酒場物語

路上ライブの夜に

先日のある晩、私は札幌駅の南口を歩いていた。すると、いい歌声が聞こえてきた。若い女性が広場の隅に座って、ギターを弾いている。オリジナルソングらしい。彼女の名前は「鯨」。私は「デビューしたら教えて」と、なにがしかを黒いギターケースに入れた。
私が愛したお酒たち

蕎麦屋の天ぷらで喜久酔(札幌円山・清流庵)

カウンターに陣取って、天ぷらの盛り合わせを頼む。お通しとだし巻き卵(これも逸品)でビールを飲み、それから日本酒へ。天ぷらをかりっ、喜久酔をくいっ。冷房がないので、窓から麗しい夜風が入る。2杯ほど飲んだところで、せいろか冷やしたぬきで仕上げ。
酒場物語

ラヴレター フロム 佐賀(ススキノ・ゼロ番地のぼんてんにて)

その客が「こんなにおいしい店は、初めてです。地元に帰ったら、お礼にお酒を贈りますよ」と言ったそうだ。で、なんとお金を払わずに帰ったという。女将が「いいわよ」と言ったのか、その客が「今日はタダにしてください」と言ったのか。
私が愛したお酒たち

秋風に「アパッシメント」が恋しい(イタリアの赤ワイン)

2,3年前からだろうか、ローソンの赤ワインが充実してきた。1000円から1500円と、私の守備範囲の赤が5,6種類並ぶ。その中でクセになったのが、「アパッシメント」と呼ばれる製法で作った赤ワイン。これは陰干ししたブドウを醸造する。
未分類

女の顔は請求書、あるいは愛の不良債権

女の顔が請求書に見えるのは、「愛の不良債権」に追われたことのある男である。しかし、女たちは実際には非常にやさしい。男のそんな臆病な気持ちを察して、悲しげに微笑んで去っていく。手切れ金を要求されるのは、よほどダメな男である。
私が愛したお酒たち

夏野菜に合う! 上川大雪酒造の「特別純米きたしずく」

上川大雪酒造の「特別純米きたしずく」を発見した。この5月に飲んだ大吟醸の「きたしずく」を思い出し、迷わず購入。特別純米では「彗星」もあったので、店員さんに聞いてみると、「旨みはきたしずく、キレのよさは彗星ですかねぇ」と教えてくれた。
酒場物語

帯広の夜は更けて

7月、8月と、2か月連続で帯広出張をした。「天ぷら てんかつ」で、明るいうちから天ぷらとビールだ。まだ明るい街を一人で歩くと、もう少し飲みたい感じになってくる。というわけで、「彦左衛門」へ。お気に入りの居酒屋で、マグロ料理がいい。
旅のかけら

己のこころを彫る(安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄)

世界的な彫刻家は、私の拙い質問に大変穏やかな語り口で答えてくれた。私はその後、アルテピアッツァで開催される「こころを彫る授業」に参加するようになった。2回ほど、安田先生直々に指導を受けたのだ。たいした作品はできなかったが、もう有頂天である。
酒のみの健康術

「男の顔は履歴書」とは誰の名言?

安藤昇の左頬には傷跡があった。その記事によれば、対談か取材かで会ったジャーナリストの大宅壮一が、安藤に頼まれて書いた色紙に「男の顔は履歴書」としたためたのだとか。安藤昇は、いわゆる特攻崩れ。ヤクザを引退した後、俳優として活躍していた。
私が愛したお酒たち

人類の晩年を素直に暮らす(函館、ギャラリー村岡)

2019年8月10日の朝日新聞。「北の文化」欄に、ギャラリー村岡の店主、村岡さんの文章が掲載されていた。タイトルは「教会群と、風土がはぐくむ工芸品」。函館の景色、歴史、人との交流を語る語り口に、長い時間が醸したふくよかな香りが漂っていた。
Translate »