知事公館でお花見を

日々のかけら

福島と青森の水で

 今年は花見をしようではないか。師匠の言葉に賛同し、4月の最終日、我々4人(師匠、Iさん夫妻、私)は正午に知事公館の中庭に到着した(写真は撮り忘れたので、中島公園の枝垂桜を掲載)。うららかな陽光に芝は輝き、梅も桜もいい具合に咲いている。こんな素晴らしい春の一日があるのだから、人生は愛するに足りると言うべきだ。

 さっそく流政之さんの彫刻「SAKIMORI」の近くの桜の木の下に、Iさん持参のイギリス製の敷物を敷いた。チェックの柄がピクニック気分を盛り上げる。遠くに安田侃さんの彫刻「意心帰」も見える。花見や散歩の人は数グループ、驚くほど少ない。それもそのはず、ここはアルコール禁止なのだ。師匠は数年前、酒を持ち込んだことがあり、警備の人に叱られたという。

まずはノンアルコールビールで乾杯し、スーパーで買った稲荷ずしなどをつまむ。Iさんが水筒に「福島の水」を入れてきたというので、紙コップでいただく。「さすがは会津磐梯山の伏流水、香りがいいねぇ」と師匠。1時間ほどで水筒が空になったので、今度は私がリュックに入れてきた青森の水を水筒に移す。「これは八甲田山の伏流水かな。甘みがある」とIさん。有名な日本酒メーカーの水なのだ。2時間かけて四合瓶2本分を飲み、4人の顔もほんのり赤らんだ。

キンキのアクアパッツァ

キンキがちらりとしか見えないが、ボリューム満点だった。

 2時過ぎに知事公館を辞し、師匠の事務所へ。改めて缶ビールで喉を潤し、師匠にご用意いただいたつまみをいただく。まったく相変わらずの不肖の弟子である。こんにゃくのピリ辛炒めは、ビールにも日本酒にも合う逸品だった。

 夕刻、「ちょっと仕入れに行ってくる」と師匠は立ち上がり、近くのスーパーへ。作ってもらったのは「キンキのアクアパッツァ」であった。これがもう、ほっぺたがいくつあっても足りないくらい。白身が甘く舌の上でとろけるのはもちろん、キンキ、アサリ、ムール貝、ミニトマト、マッシュルームなどからにじみ出たスープも素晴らしく、ラスクを浸して最後の一滴まで食べ尽くした。

 お開きになったのは11時。11時間かけて日本酒をひとり四合、ビールを500ccほど飲んだ計算である。師匠は「これが最後の花見かな」と笑うが、来年もぜひ。

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