私が愛したお酒たち

海を見ながら「きりんざん」(麒麟山酒造、新潟)

北海道に夏が来た。夏と言えば、海。そしてウニ。積丹半島の神恵内村にある「民宿きのえ荘」は、漁港直送の新鮮な魚介類と種類豊富な地酒でもてなしてくれる、心に残る宿だった。
酒場物語

流政之さんの一周忌

7月7日は彫刻家・流政之さんの一周忌。今も懐かしく思い出すのは、代表作「サキモリ」をかたどった真鍮製のペンダントをいただいたこと。私は「家宝にします」と言って、恭しく拝領した。すると、その時隣にいた編集者が、こう言った。
旅のかけら

マンゴーが食べたかった

マンゴーなんて、久しく口にしていない。あのとろけるように甘い舌触りが、早くも懐かしくなった。しかし、私たちは目の前の船盛にいい気になって酒を飲み、かなり酔ってしまったのである。
旅のかけら

知床・羅臼から出土した日本最古の銀製品 

「羅臼町郷土資料館」が凄い。縄文時代以降の出土品が順序よく並べられた展示物の解説が、どれも実に詳しいのである。なかでも心を惹かれたのが、約2300年前の小刀とその装飾品とみられる金属片。金属片は銀製で、日本最古のものだという。
酒場物語

ススキノでの虐待をめぐる独演会、その後の出来事

酒場での話題は、時事ネタも多い。千葉で10歳の少女が虐待の末に死亡した事件では、最近母親についての判決があった。その夜、テレビは、児相と警察の連携を伝えていた。すると、「まったく馬鹿ばっかりだよ」と、その客が言い出した。
酒場物語

初恋の呪縛、あるいはニューシネマパラダイス

「ニューシネマパラダイスが大好き」と、何かのはずみにYさんが言った。往年の名画である。もちろん、私も好きだ。この映画の魅力をひと言でいうなら、「初恋の呪縛」の切なさ、とでも言おうか。
旅のかけら

水俣の海、魂の不在 

数年前に石牟礼道子の『苦海浄土』(全三部、藤原書店)を読んで以来、水俣の海を見たいと思い続けてきた。ようやく先月、九州を旅行したおり、水俣を訪れることができた。たまたま水俣病資料館では石牟礼道子さんの追悼展が開かれていた。
私が愛したお酒たち

ジャズとビールと牛タンと

ギターの名手畑ひろしさん、北海道のベーシスト辻充浩さん、ヴォーカリストのきむらあつこさんのジャズライブ。観客は20人ほどという小ぢんまりしたライブだったが、実によかった。
私が愛したお酒たち

今日は父の日、なつかしの浦霞

父がこの世を去って、7年になる。20年以上前のことだが、父と二人で、仙台を旅したことがある。夜、牛タンの店に行入った。「ああ、浦霞か、なつかしいなあ」。そう言いながら、父はうれしそうに飲んだ。
酒場物語

人生はどれだけ与えたか、である

とある土曜の昼下がり、師匠から電話が入った。「夕方、事務所に飲みに来ないか」 午後4時半、ビールをぶら下げてお邪魔すると、「近所のスーパーに行ったら、ワタリガニを売ってたんだよ。それで、鍋でもどうかと」
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