残り物には福がある? 

私が愛したお酒たち

お歳暮の在庫一掃セール

私には「ポルトガルワインは裏切らない」という確信がある。1000円前後でも赤はしっかりしたボディと香り、奥行きのあるコクと甘みのバランスがよく、お気に入りだ。ところで先日、某デパートでお歳暮の売れ残り一掃セールがあった。詰め合わせになっていた肉製品やワインなどを、ばらして売るのである。1本880円というワインがたくさんあり、おば様たちが1人で5本も10本も抱えている。見たことのないブランドだが、ポルトガルの赤を発見し、私も思わずにやりとした。

自宅でさっそく、この日仕入れたとんでんファームの焼き豚、生ハム、ブルーチーズ、フランスパンとともに、この赤を開ける。色はやや薄いが、香りはまあまあだ。まずひと口、含んでみた。「?」。クレヨンしんちゃんの登場人物、ネネちゃんのセリフが思わず脳裏に浮かぶ。「いつものポルトガルの赤じゃない!」。

デパートの商魂の逞しさ

コクが足りない。甘みも薄い気がする。ボディも頼りない。こんなはずじゃなかった。何だか牛肉100%のハンバーグだと思って食べたら、パン粉が50%入っていた、という情けない気分である。あるいは脂ののった寒ブリだと思って食べたら、アジの干物だった(見た目からして相当違うが)という感覚だろうか。とにかく期待が大きい分、失望感も深いのである。こんなことなら、チリワインを選べばよかったと思っても、時すでに遅し。

まあ、「人間、諦めが肝心」とか、「人生は客に来た気分で」とか、いろいろ人生訓を思い出しながら、もちろん最後まで飲んだ。が、癪に障ったのでスマホのアプリでラベルの写真を撮り、評価を検索してみた。私の評価は3.1だったが、そのアプリでも3.2だ。そんなところだろう。ただ、悔しいのは平均価格である。そのアプリの示した価格は、843円だったのである。お歳暮に限って言えば、残り物に福はない。デパートの商魂の逞しさにも感服したのでした。

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