「ひやおろし」三昧の夜

私が愛したお酒たち

枝豆の季節を過ぎて

例年9月になると、石狩湾に沿って、浜益方面に車を走らせる。この道路沿いで、枝付きの枝豆を直売している農家があるからだ。もちろん、スーパーでは考えられないほど安い。その一つでは、駐車場に腰掛けまであって、買った人がそこで豆を枝からもぐことができる。至れり尽くせり(?)なのだ。しかも、とれたてだから、甘くおいしい。

ところが今年は一度も行かなかった。知り合いが家庭菜園をしていて、収穫物のおすそ分けに、何回も預かったからだ。なかでも枝豆は大量にいただいた。大皿にこれでもかと盛り上げて、ビールを片手にむしゃむしゃと食べ始める。数えたことはないが、1回にさやの数で200くらいは食べたのではあるまいか。ざっと500から600粒である。それでも、飽きないのが枝豆の素晴らしいところだ。 しかも、写真のように粒が黒ずんでいる黒大豆である。ほっくりとした甘みに富み、香りもいい。売り物は黒くなる前に収穫するのかもしれないが、このくらいまで育てたほうがおいしいと思う。惜しいことだが、風が冷たくなってきて、この贅沢な枝豆の季節も終わりを迎えた。冷凍もので我慢する手もあるが、このおいしさに敬意を表して、来シーズンを待ちたい。

偶然の郷愁

ところで、秋は「ひやおろし」の季節。まろやかで、好きな酒の種類の一つである。昨日ススキノの「花遊膳」で開かれた第12回酒遊会では、「北の錦(小林酒造)」「出雲富士」「綿屋」「杜の蔵」の各ひやおろしを楽しんだ。乾杯は「北の錦 純米大吟醸 雪心」。フルーティで、上品な酒である。ほかにも「一歩己(いぶき) 純米吟醸」「町田酒造 カタカナマチダ」「天明 秋の純吟 生」など、合計10種類。記憶にしっかりとあるのは、「出雲富士 純米ひやおろし 秋雲」のさっぱりとしたうまさ。食中酒として飽きのこない良さを感じた。提供はいつもの七蔵さん。店長のミムッチもマイクを握り、小林酒造の杜氏さんも参加。終始、和やかでした。

北斗随想(小林酒造)と一歩己は純米吟醸、マチダは町田酒造の「カタカナマチダ」で、試験的に醸造した番外品。

うれしかったのは、狩猟免許をお持ちの女性に、エゾシカ肉の話を聞けたこと。先日、某所で食べたものがあまりにおいしかったのだが、やはり熟成が大事らしい。そしてもう一つ、隣に座った女性二人が、偶然、同じ業界の人だったこと。廃刊になった雑誌のことが話題に上ったりもして、ちょっとだけ郷愁にとらわれた。
白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり 若山牧水
秋になると思い出すこの歌のような酒もいいが、たまには大勢で飲むのもいいなあと思った夜でした。

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