札幌の夏は、大通公園のビアガーデンとともにやってくる。そう思っている人も、きっと多いだろう。もちろん、私もその一人である。しかし、毎年足を運ぶとは限らない。天気のいい日は混んでいるからだ。
さて、昨日(7月25日)の6時過ぎ、私はビアガーデンにいた。11丁目会場の「札幌ドイツ村」である。なぜ、と問われるかもしれないが、「国産ビールの会場はたぶん混んでいるだろう、たまにはドイツのビールもいいんじゃない」くらいの軽い気持ちだった。長く札幌にいるが、実はこの会場で飲むのは初めてのこと。
ちょうど夕暮れ時で、空が少しずつ青みを深めていく。噴水のそばなので、涼しい風もいい。スタッフの若い男女の衣装は、ドイツ風だ。
「ドイツのビアガーデンも、こんな感じかな」
「いや、ここはもう、ドイツなんだよ」
そんな錯覚を楽しめるロケーションだった。
黒ビール好きの私が飲んだのは、「シュパーテン・オプティメーター」と「ヴァイスビア・ドゥンケル」。ヴァイスビアは小麦の黒で、初めて飲んだ。むろん、どちらもおいしい。しかもこの会場では、ビールだけはオーダーを取りに来てくれるので、楽ちんである。
7時になると、中央の噴水が止まった。すると、若い女性がMCとなって、「ドイツのようにみんなで歌って、乾杯しましょう」と呼びかける。スタッフは全員、ジョッキを持って噴水の縁に立った。ご丁寧にもメニューに「乾杯の歌」(ドイツ語にカタカナが振ってある)が書いてある。お客はほとんど立ちあがり、その短い歌を歌い、最後に声をそろえて「ブロースト(乾杯)」と言って、ジョッキを合わせた。もちろん、私もだ。
スタッフたちも会場をあちこちめぐり、お客さんと乾杯している。若い美女とジョッキをかちんと合わせて飲むビールは実にうまく、ついもう一杯オーダーしてしまうのであった。
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