初恋の呪縛、あるいはニューシネマパラダイス

酒場物語

アテニヨルで小林酒造の「まるた」を一杯

先日、男性2人女性2人の計4人で、飲み会を開いた。ほぼ1年ぶりの顔合わせ。「前回の店は〇〇だったよね?」などと、復習から始まるのが、こうした飲み会の常だ。それからSさんの骨折とやけど、Yさんの腕のあざ(転んだらしい)、私のぎっくり腰など、年齢にふさわしい近況報告。言い添えておくと、Sさん、Yさんは40代の麗しい女性です。

「アテニヨル」は、札幌駅にも店があり、そちらでは何回か飲んだことがある。こちらの店は初めてで、しかも上の写真の通り、飲み放題付きコース料理の最初の「アテ」がよかった。女性陣、特に大喜び。「ホヤが好き」という通もいて、楽しい限り。
最初はビールで乾杯し、あとはそれぞれ好みの日本酒、またはワインへ。「お互いに注ぐのも面倒だから、手酌で」なんて言うところも、全員酒飲みの気楽さです。日本酒は北海道のものが多く、久しぶりに小林酒造の「まるた」が飲めたのはうれしかった。

初恋は心の中に

  話はあちこちに飛び、「あの店はどうだった?」など、人の噂より店の裏話の方に熱がこもる。今度、行ってみたい店の名前がいくつも出たが、私はそうそうに酔ってしまい、すべて失念した。ところで、何かのはずみにYさんが「ニューシネマパラダイスが大好き」と言った。往年の名画である。もちろん、私も好きだ。この映画の魅力をひと言でいうなら、「初恋の呪縛」の切なさ、とでも言おうか。思えば私の初恋は、40年以上も前である。その長い年月を思うと、愕然とする。

むろん、呪縛ではなく、もっと美しい言い方もできる。わが愛読書『存在の耐えられない軽さ』のなかでは、こう表現されている。「脳の中には、詩的な記憶とでも名づけられるような、まったく別な領域が存在し、われわれを魅了し、感激させ、われわれの生活を美しくするものを記録するように思える。…(中略)…別な言葉でいえば、愛は女がわれわれの詩的記憶に自分の最初のことばを書き込む瞬間に始まるのである」。

初恋とは、詩的記憶に書き込まれ、上書きも消去もされなかった永遠の女性の姿、なのだろう。 もっともその晩は4人とも、自分の初恋を話すことはなかった。
やはり自分の心の中で、ひそかに上映するだけでいいのである。

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