今夜も男酒

酒のみの健康術

人生最長の歯科治療

この奥歯、なかなかしぶといのである。麻酔を何本も打ちながら、歯を削り、唾液を吸い取り、神経を抜いていくのだが、3本の神経のうちの1本がどうしても完全には抜けない。しかも、奥歯だから作業がしづらいし、私も大口を開けている必要がある。
本日の一品

チョンキンマンションのボスは知っている

この本を読み終えたら、思考が少し自由になった気がした。「何だ、資本主義の最末端にいたって、自由に生きられるじゃないか」という気分になれるのである。私も大きな組織に属しているわけではなく、人脈と機会に従って仕事をし、生計を立てている。
酒場物語

右肩が上がらない

若い理学療法士のK君は、「五十肩は時間がかかるんですよ」と、予防線を張る。確かに数回通っても、ほとんど動かせる範囲が変わらない。痛みも引かない。そのうちコロナでリハビリに行くのも怖くなり、しばらく放置したままとなってしまった。
本日の一品

器の少ない男

私は持っている食器が少ない。つまり、「器の少ない男」である。器より中身を満たすのに手いっぱいだったのだ。ところが九州の天草で「うつぎ窯」の主に出会い、その器に愛着がわいた。普段の食事が、実にいい気分なのである。そうなると、もっと欲しくなる。
日々のかけら

ゆく川の流れは絶えずして

師匠曰く「加藤周一の『日本文学史序説』にいい指摘がある。鴨長明の『方丈記』は疫病や貧困が蔓延する中世末期に書かれた。悲惨な世の中の有様を、冷静にじっと観察し続けた成果というんだな。鴨長明の生きた世は、今の日本そのものではないか。」
本日の一品

突然、マイノリティに

コロナに対して、「感染したら、回復しないかも」という不安だけでなく、「攻撃されるかもしれない」という抑圧への恐怖が含まれているように思う。「抑圧に無自覚な社会」は、南アの白人が黒人に対してそうであったように、弱い人に残酷なのである。
日々のかけら

遠くへ行けない

窓から入る光線がやわらかく、古い木の棚に置かれた陶器が、静かに出番を待っている風情が何ともいい。器の色合いや質感に温かみがあり、これはうれしい出会いだと直感した。「お茶でもどうぞ」と言ってくださり、居間でコーヒーをご馳走になった。
日々のかけら

緊急事態宣言の夜

私は寂しい通りを車で走っていた。信号が赤に変わったので、一時停止した。今日も疲れたな、思っていると、助手席側の窓からこちらをのぞく人がいた。私が気づいたのを見て、コツコツと軽く窓ガラスをたたき、話があるようなそぶりをしている。
私が愛したお酒たち

人生最高のビール

グラスに注がれたそれは、濁った琥珀色。泡もふわりと軽い感じがする。ひと口飲んで、驚いた。焼き立てのパンが液体になって、舌を撫でているのである。穏やかな炭酸、滑らかさ、香ばしい麦の香り。じわりと伝わってくるうまさ。しかも、ほんのりと甘い。
酒場物語

思い出のギャグ

世間が自粛しているこんな時こそ飲みに行くのが、天邪鬼な酒飲みの矜持というものであるが、いかんせん、最近あまり体調がよくない。静かな夜を過ごしてばかりいる。思い出すのは、「勝のやきとり」で、勝さんと師匠が繰り広げたおやじギャグの数々だ。
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